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平成19年度司法書士試験憲法

平成19年度司法書士試験憲法問題

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  音声解説
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第1問

次の対話は、人権に関する規定が私人間にどのように適用されるかに関する教授と学生との対話である。後記の文章群の中から適切な文章を選択して対話を完成させた場合、( ① )から( ⑤ )までに入る文章の組合せとして最も適切なものは、後記1から5までのどれか。

教授:憲法の人権規定が私人間にどのように適用されるかについては、いわゆる直接適用説と間接適用説がありますね。これらの二つの見解について、どう考えますか。
学生:私は、間接適用説が妥当と考えます。なぜなら、( ① )と考えるからです。
教授:その理由からは、直接適用説又は間接適用説のいずれも、当然には導くことはできませんよ。では、直接適用説に対する批判としては、どのようなものがありますか。
学生:( ② )という批判があります。
教授:その批判は、沿革的なものですね。直接適用説を採ることにより生じる問題としては、どのようなことが考えられますか。
学生:( ③ )という問題が生じると考えられます。
教授:あなたが採る間接適用説の積極的な根拠は、どのようなものですか。
学生:( ④ )という理由です。
教授:では、間接適用説の限界として、どのようなことが指摘されていますか。
学生:( ⑤ )と指摘されています。

[文章群]
ア 憲法の人権規定は、国家を拘束するものであり、私人に向けられたものではない
イ 純然たる事実行為による人権侵害については、真正面から憲法問題として争うことはできない
ウ 社会の中に巨大な力を持った国家類似の私的団体が数多く存在する現代においては、これらの社会的権力からも国民の人権を保護する必要がある
エ 私的自治の原則を尊重しつつも、社会的許容性の限度を超える侵害に対し基本的な自由や平等の利益を保護することができ、その適切な調整を図ることが可能である
オ 私的自治の原則が広く害され、私人間の行為が大幅に憲法によって規律されたり、かえって国家権力の介入を是認する端緒となる。

1 ①ア ②オ ③エ ④ウ ⑤イ
2 ①ウ ②ア ③オ ④エ ⑤イ
3 ①ウ ②オ ③イ ④エ ⑤ア
4 ①エ ②ア ③イ ④ウ ⑤オ
5 ①エ ②ア ③オ ④ウ ⑤イ

解説

この第1問、憲法の基本的な論点、私人間効力の問題ですね。

平成15年だったかな、この論点が出てました。この論点を多少わかっていれば、この問題は簡単です。判例も条文も要りません。基本的な考え方だけでOKです。

しかも過去問で出たところですからね、これは知らなくちゃいけないってことです。つまり、ほとんどの受験生は過去問は検討してくるわけですよ。しかも司法書士試験の憲法の過去問なんて何年分もないんですからね、合格しようと思う受験生は、ほぼ必ず過去問を検討してきてる。その中で、自分は過去問の検討もしないぞ、ってわけにはいかないですね。資格試験受ける以上、過去問の検討は絶対必要です。

では、問題を読むポイントです。

教授:憲法の人権規定が私人間にどのように適用されるかについては、いわゆる直接適用説と間接適用説がありますね。これらの二つの見解について、どう考えますか。
学生:私は、間接適用説が妥当と考えます。なぜなら、( ① )と考えるからです。
教授:その理由からは、直接適用説又は間接適用説のいずれも、当然には導くことはできませんよ。では、直接適用説に対する批判としては、どのようなものがありますか。
学生:()という批判があります。
教授:その批判は、沿革的なものですね。直接適用説を採ることにより生じる問題としては、どのようなことが考えられますか。
学生:()という問題が生じると考えられます。
教授:あなたが採る間接適用説の積極的な根拠は、どのようなものですか。
学生:()という理由です。
教授:では、間接適用説の限界として、どのようなことが指摘されていますか。
学生:()と指摘されています。

こうしてみると、何のひねりもない、素直な問題なのがよくわかります。

1)直接適用説間接適用説、どちらの説にも適合
 = 国家権力限定適用(無適用)説への批判 ⇒①

2)直接適用説について
ⅰ)根拠
ⅱ)沿革からの批判 ⇒②
ⅲ)適用時の問題 ⇒③

3)間接適用説について
ⅰ)根拠 ⇒④
ⅱ)限界 ⇒⑤

問題はこのような構造になっています。

それでは問題を、解いてみましょう。

教授:憲法の人権規定が私人間にどのように適用されるかについては、いわゆる直接適用説と間接適用説がありますね。これらの二つの見解について、どう考えますか。
学生:私は、間接適用説が妥当と考えます。なぜなら、( ① )と考えるからです。
教授:その理由からは、直接適用説又は間接適用説のいずれも、当然には導くことはできませんよ。

「その理由からは、直接適用説又は間接適用説のいずれも、当然には導くことはできませんよ」という部分を読んだときに、ピンと来なかった人は、これを後回しにしましょう。それでも全然大丈夫です。

しかし、

ははあ、これは無適用説を否定しただけの理由だな、と思った人は、ここで( ① )を埋めてしまいましょう。

( ① )に入るのは、なぜ無適用説ではダメなのか、です。

これは、近代の自由主義的憲法から現代的憲法に修正せざるをえなかった理由が入るわけですね。

つまり、フィクションもしくは理念としての、対等で自由な個人同士の関係であった私的自治の世界も、実際には、社会的権力というものが存在するわけです。そして、その社会的権力による人権侵害という状況が存在するわけで、それに対して、憲法的価値というものが貫徹する必要性があるわけですね。

ですから、選ぶべき選択肢は、

ウ 社会の中に巨大な力を持った国家類似の私的団体が数多く存在する現代においては、これらの社会的権力からも国民の人権を保護する必要がある

です。

教授:(その理由からは、直接適用説又は間接適用説のいずれも、当然には導くことはできませんよ。)では、直接適用説に対する批判としては、どのようなものがありますか。
学生:( ② )という批判があります。
教授:その批判は、沿革的なものですね。直接適用説を採ることにより生じる問題としては、どのようなことが考えられますか。
学生:( ③ )という問題が生じると考えられます。

先ほど、( ① )を飛ばした方にも、この部分は取り組みやすいでしょうね。
ここで問われているのは、直接適用説に対する批判と、直接適用説を採用した場合の問題です。

ここで、沿革的と言っています。歴史的と言ってもいいですね。
憲法はもともと、対国家的なものだったんですね。

②にアを入れておきましょう。

そして、

直接適用説の問題は、国家権力が私的自治の領域に介入することだったわけですね。
③にオを入れます。

しかし、ここは、国語力だけで選択肢を選ぶやり方を説明します。
まず、選択肢をざっと見て、何について述べたものか確認します。すると、

ア 憲法の人権規定は、国家を拘束するもので、私人に対するものではない。(憲法の性格)
イ 事実行為については、憲法問題として争えない。(批判、限界)
ウ 私的団体から人権を保護する必要性があること。(必要性、根拠)
エ (この説では)私的自治と、自由・平等の利益保護の調整が図れること。(メリット)
オ (この説は)私的自治の原則が広く害されるし、国家権力が介入することになる。(批判)

歴史的な批判の②と、実際上の問題の③に何がはいるか。日本語として考えれば、
批判はアイオですので、これを確認します。

歴史的な批判、つまり、もともと憲法はどういうものだったか説明しているのは、「憲法は、国家を拘束するもの」、「私人に向けられたものではない」ですね。

そして、憲法を幅広く適用した場合の危険性について述べたのは、「私的自治の原則が害され」「私人間の行為が憲法によって規律」「国家権力の介入」というオしかありませんね。

イは、憲法が適用できない部分があることについてですから、ここでは適切ではありません。
そして、アが、もともと憲法はどういうものだったか、という説明であり、オが、憲法を幅広く適用した場合の危険について説明したものであることは、わかると思います。

ですから、ここで、
② は、ア
③ は、オ
は確定ですね。

解答の組合せを見ると、
1 ①ア ②オ ③エ ④ウ ⑤イ
2 ①ウ ②ア ③オ ④エ ⑤イ
3 ①ウ ②オ ③イ ④エ ⑤ア
4 ①エ ②ア ③イ ④ウ ⑤オ
5 ①エ ②ア ③オ ④ウ ⑤イ
です。

2か、5しかないのはわかりましたね。

先ほど、最初の部分で、①にウが入るのがわかった人であれば、この時点で2が答えと出ます。終わりですね。

①をペンディングした人は、もう少し先に進みます。その場合、2と5において、⑤はどちらもイであることをチェックしておきましょう。

④はエかウ、どちらか、という問題になりますね。

教授:あなたが採る間接適用説の積極的な根拠は、どのようなものですか。
学生:( ④ )という理由です。
教授:では、間接適用説の限界として、どのようなことが指摘されていますか。
学生:( ⑤ )と指摘されています。

先ほど言ったように、⑤にはイが確定しています。

ですから、④はエかウです。そして、残しておいた①は、その残ったほうが入るわけですね。

①は、間接適用説、直接適用説のどちらも当然には導けないというのでした。
そして、④は、間接適用説の積極的な根拠、というわけです。

そして、

ウ 社会の中に巨大な力を持った国家類似の私的団体が数多く存在する現代においては、これらの社会的権力からも国民の人権を保護する必要がある
エ 私的自治の原則を尊重しつつも、社会的許容性の限度を超える侵害に対し基本的な自由や平等の利益を保護することができ、その適切な調整を図ることが可能である

ウは、社会的権力からも国民の人権を保護する必要がある、といいます。
これは、憲法の適用対象を広げるべきだという話。

一方、エは、私的自治と人権・自由の保障のバランスをとれるという話

ウは適用対象を広げようといいます。一方、エは、バランスをとれます、という話。私的自治と、自由・平等の利益の保護、それを調整できるって言ってます。要は、間を取っている、バランスをとった考え、って感じでしょ。

これが、間接適用説の根拠ですね。

というわけで、答えが出ました。

④はエ、①はウですね。

というわけで、勉強してなくても解ける、憲法過去問解説でした。

ただ、それにしても、この問題、憲法の考え方の、本当に一番の入り口の部分ですので、ぜひ理解しておいてほしいところです。まして、一度過去問で出てますのでね。

司法書士の憲法に、ややこしい論点はいりません。難しい判例もいらない。本当に基礎だけで足りるんです。

細かい知識は不要です。でも、大切な考え方だけはしっかり身に付けておいてください。いわゆる骨太の理解ですね。それがなくても、国語力である程度はどうにかなります。でも、基礎的なポイントの骨太な理解があれば、知識の量はなくても、この問題のように瞬殺できますので。

おまけ 憲法の私人間効力

もともと近代憲法は、近代市民革命の理念を受け継いだもの。そして、その近代市民革命とは、市民階級が、自分たちの自由な活動を妨げ、発展の邪魔になる旧制度を打破したものでした。

そして、これによって、国家は最低限の公共の福祉、つまり害悪を防止することが役割とされ、一方、社会は、自由で理性的で対等な私人同士が自由に契約を結び活躍する場とされたわけです。

その象徴的な例が、アダム・スミスの「神の見えざる手」という考え方。

ごく簡単に言えば、一人ひとりが自由に最大限の利益を追及すれば、神の見えない手が働いたかのように、全体的にはすべてがうまくいく、というもの。

このような、自由で理性的で対等な個人の関係は、私的自治という言葉で特徴付けられます。

しかし、この自由で、理性的で、対等な個人というものは、あくまでも理念的なものでしかないわけです。

実際の個人は、対等などではないわけです。その活動を、本当に自由にしておいたなら、弱肉強食になり、弱者は悲惨な状態になってしまうわけです。資本主義成立期のイギリスでも、日本でも似たような状況は存在します。労働者たちは、劣悪で悲惨な労働条件のなかで、苦しみます。

そうなると、中には革命運動に走ったり、犯罪に走ったる人々も出てきて、社会が不安定化します。そこで、なんらかの形で、契約の自由を制限し、あるいは、社会的権力を制限する必要性も出てくるわけですね。

そこで、もし社会的権力が、人々の人権を制約しているとしたら、国家権力による制約の場合と同様に、憲法によってストップできないか、という発想が出てきます。

けれど、憲法によって、とはいっても、実際に、社会的権力を制限するとしたら、それは国家権力によるしかないわけですね。

せっかく、害悪除去という狭い領域に押し込めたはずの国家権力が、憲法という、本来国家権力を制限したはずのものによって、逆にお墨付きを得て、自由な活動の場所であり私的自治が前提である領域に、復活し、活動に干渉してくることになるわけです。

ですから、社会的権力に対しても、憲法を直接適用するのではなく、あくまでも私的自治を尊重し、私法の中にある一般条項(公序良俗など)や、不法行為などを、憲法の精神を尊重しながら適用していくという間接適用説が通説になっている、ということです。

しかし、この間接適用説、私法の解釈を通して憲法の精神を生かしてこうっていう発想ですからね、純粋な事実行為、つまり、私法の出番がない場合、憲法による救済っていうのがありえないわけですよ。法律行為であれば、たとえば、あまりに憲法の精神から逸脱していれば、公序良俗に反して無効、とか言えても、単なる事実行為には手も足も出ない。そういう限界はあります。

たとえば、あなたがなんらかの理由で差別的な待遇を受けたとしても、事実行為だけであれば、間接適用説では問題にできないわけです。

もちろん、一定以上の悪質な行為であれば、不法行為として法律の問題にできるんですけど、そこまでではない場合、憲法は沈黙せざるをえないわけです。まあ、逆に、不法行為にもならない程度のことを、憲法的価値だといって、国が押し付けることは問題だという考え方もあるわけですけれど。

第2問

司法権を担う裁判所は、法律上の争訟について裁判する権限を有する(裁判所法第3条第1項)が、この「法律上の争訟」の意味については、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であり、かつ、法律を適用することにより終局的に解決することができる紛争であることと解されている。次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし、司法審査の及ばない理由として「法律上の争訟」の要件を欠くことを理由とするものの組合せとして最も適切なものは、後記1から5までのうちどれか。
ア 国家試験における合格又は不合格の判定は、学問又は技術上の知識、能力、意見等の優劣、当否の判断を内容とする行為であるから、その試験実施機関の最終判断にゆだねられるべきものであって、裁判所がその判断の当否を審査し、具体的に法令を適用して、その争いを解決調整できるものではない。
イ 大学における単位授与行為は、それが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを肯認するに足りる特段の事情のない限り、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自立的な判断にゆだねられるべきものであって、裁判所の司法審査の対象にはならない。
ウ 衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であるから、それが無効であるかについては裁判所の審査権の外にあり、その判断は主権者たる国民に対して政治的責任を負うところの政府、国会等の政治部門の判断に任され、最終的には国民の政治判断にゆだねられている。
エ 国会における法案審議において議場が混乱したまま可決された法律についても、両院において議決を経たものとされ適法な手続によって公布されている以上、裁判所は両院の自主性を尊重すべく同法制定の議事手続に関する事実を審理してその有効無効を判断すべきでない。
オ 裁判所は、具体的な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法及びその他の法律の解釈に対し存在する疑義論争に関し抽象的な判断を下すような権限を行い得るものではない。

1 アウ  2 アオ  3 イエ  4 イオ  5 ウエ

(参考)
裁判所法
第3条第1項  裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。

解説

この問題をざっと眺めたとき、どんな感想をお持ちでしょか。
司法書士試験の受験生の方は、憲法に力を入れて勉強している方はあまり多くないでしょうから、こういう訴訟ネタっていうのは、結構、見ただけでびびってしまうかもしれませんね。

でも、この問題、実は読解力さえあれば解ける問題です。それでは、ここで、初学者モードの解きかたで解いてみましょう。

まずは、問題文をざっと読みましょう。
裁判所は、法律上の争訟について裁判する、って言ってます。

この意味がわかんなくても大丈夫、本文がすぐに説明してますね。

この「法律上の争訟」の意味については、
A 当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争
であり、かつ
B 法律を適用することにより終局的に解決することができる紛争
であると説明していますよね。

こんな風に、長い問題にはヒントがいっぱいです。

そして、アからオの中で、司法審査の及ばない理由を、「法律上の争訟」の要件がないってことを理由にしているものの組合せを見つければよいんですね。

判例の趣旨に照らしって書いていますけど、こういうのを見て、判例知らないと駄目だア、って思わないように。学説で、思わぬ論理展開するものがあるんですよ。結局、この注意書きは、一般的な解釈、常識的な解釈をしてね、って意味に読んでおけばいいです。

もちろん、判例の知識を問う問題というものも、ありうるわけですが、司法書士試験ではあまり考えにくいですし、そもそも、司法書士受験生は皆、憲法判例については詳しく知らないはずですので、気にしないで行きましょう。

それで、アから見てみましょう。まずはざっとながめること。細かく読まないで、ざっと見るのが大切。

ア 国家試験における合格又は不合格の判定は、学問又は技術上の知識、能力、意見等の優劣、当否の判断を内容とする行為であるから、その試験実施機関の最終判断にゆだねられるべきものであって、裁判所がその判断の当否を審査し、具体的に法令を適用して、その争いを解決調整できるものではない。

ざっと見たほうがいいのは、こういうのは視力検査みたいなものだからです。
細かく見ていくと気が付かないことに、大きく見ると気が付くもの。

最後の方、「具体的に法令を適用して、その争いを解決調整できるものではない」ってありますね。

これって、B 法律を適用することにより終局的に解決できる紛争
っていう要件を満たしていないってことでしょ。

つまり、アは「法律上の争訟」の要件を欠くことを理由としているんですね。

そこで、1から5の選択肢を見てください。
アがあるのは、1 アウ  2 アオ だけですね。ですが、アが正しいというだけでは、切れる選択肢は無いので注意してください。

では、ウを見てみましょう。

ウ 衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であるから、それが無効であるかについては裁判所の審査権の外にあり、その判断は主権者たる国民に対して政治的責任を負うところの政府、国会等の政治部門の判断に任され、最終的には国民の政治判断にゆだねられている。

太字にしたところだけ見てくださいね。
裁判所の審査権の外にあるんですって。

それで政治部門の判断、つまり、国民の政治判断に委ねられているっていうんですね。

これは、AやBにあたらないことを理由にしていませんね。仮に、AやBを満たしていても、これは裁判所が判断すべきことじゃない、政治部門が判断すべきことだって言うわけね。

だから、ウは駄目でしょ。

そしたら、アウはだめ。

ここで、いきなり、じゃあアオのはず。ってしないこと。
一応、オがあってるかも確認してくださいね。
可能性としては、オも駄目、ってこともありうるわけですからね。
(その場合は、イエが答えになります。)

さて、オを確認する前に、

ウが駄目ってことは、
ウが入った選択肢、5のウエも駄目ってことですね。

つまり、この時点で、
2 アオ  3 イエ  4 イオ が残っているってわけ。

ここで、順番どおり、オを見てもいいんですけど、イを検討するって言う手もありますよ。

イが違っているならば、3と4を切れるので、答えは2になるからね。
逆にイが正しければ、2と4はありえません。なぜだかわかりますか?
アは正しいし、その上でイが正しければ、2アオと4イオはどちらも、正しいもの+オということになります。つまり2と4は、ともに正しいか、ともに誤っているかであったわけですね。

答えが二つはないはずですから、この場合、3 イエが答えになります。

もちろん、オを見るとした場合、オが正しければ、それで2と確定できますし、オが誤っていれっば、2と4が切れて、答えは3になります。

わかりやすいほうをやればいいってことです。

ただね、あくまでも一般的に言えば、正しいことを確認するよりも、正しくないことを確認するほうが楽です。

間違いである、っていうのは、間違いを一つ見つければ終わりです。
でも、正しい、っていうのは、間違いがないことをすべて確認しなくちゃいけないわけ。

ある箱のりんごがくさっていない、って言いたければ、最後の一個まで確認しなくちゃいけないわけです。でも、腐っているって言いたいならば、腐っているのを見つけた時点で終了なわけだ。もちろん、腐っているのが見付からなければ、最後までチェックするんだけど、もし、一個でも見付かれば、それ以上探す必要はないわけ。だから、気持ち的にはちょっと楽かなって思います。

まあ、それも問題次第ではあるので、一応、両方に目配りするのがいいとは思いますが。

で、イを見てみましょう。

イ 大学における単位授与行為は、それが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを肯認するに足りる特段の事情のない限り、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自立的な判断にゆだねられるべきものであって、裁判所の司法審査の対象にはならない。

ここも太字部分を見てくださいね。

大学内部の問題なんだよ、って言ってます。だから、大学の判断にゆだねられるべき、って言ってますね。

「法律上の争訟」の要件を満たしていたって、大学内部の問題なら駄目なんでしょ。
つまり、法律上の争訟の要件を欠くことを理由にしていないわけです。

だから、イは間違い。

すると、3 イエ  4 イオ は切れます。

これで答えは出ましたね。2のアオです。

俺はオを確認するぞ、って人もいるでしょうから、オを見てみましょうか。

オ 裁判所は、具体的な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法及びその他の法律の解釈に対し存在する疑義論争に関し抽象的な判断を下すような権限を行い得るものではない。

こちらも簡単でしたね。
具体的な争訟事件が提起されないのに、って言ってます。
これはAの要件 当事者間に具体的な権利義務・法律関係の存否に関する紛争 を満たしていないんでしょ。そこにあるのは、解釈問題だけなんですよ。

だから、オは正しい。アが正しいことはもう見てありましたね。よって、アオが正しく、やはり答えは2ということになります。

では、確認のため、一応、エも見ておきましょう。

エ 国会における法案審議において議場が混乱したまま可決された法律についても、両院において議決を経たものとされ適法な手続によって公布されている以上、裁判所は両院の自主性を尊重すべく同法制定の議事手続に関する事実を審理してその有効無効を判断すべきでない。

これは法律上の争訟であろうかなかろうが、両院の自主性を尊重して、判断を控えるって言うんでしょ。

これは適切じゃないですね。

以上、いかがでしたか?意外と簡単でしょ。
こういう問題は、シンプルに、論理的に考えれば、楽勝です。

第3問

次の二つの見解は、違憲であるとの判決がされた場合における法律の効力に関するものである。
第1説 その法律は、その事件に関する限り裁判所によって適用されないだけで、依然として法律としての効力を有する。
第2説 その法律は、当該判決によって当然に効力を失う。
次のアからオまでの記述のうち、「この見解」が第2説を指すものの組合せとして最も適切なものは、後記1から5までのどれか。
ア この見解は、憲法第98条第1項が憲法の条規に反する法律の全部又は一部はその効力を有しないと規定することを根拠とする。
イ この見解に対しては、法的安定性又は予見可能性を害し、また、不公平を生み、平等原則にも反するという批判がある。
ウ この見解は、違憲審査権が具体的事件の裁判に付随してその解決に必要な範囲においてのみ行使されることを根拠とする。
エ この見解に対しては、裁判所による一種の消極的立法を認めることになり、憲法第41条が国会は国の唯一の立法機関であると規定することに反するという批判がある。
オ この見解は、憲法上、国会は違憲とされた法令を速やかに改廃し、また、政府はその執行を控えるなどの措置を採ることが期待されているとする。
1 アウ  2 アエ  3 イエ  4 イオ  5 ウオ

解説

これまた見解問題です。近年の司法書士試験でのこの手の問題はほぼ間違いなく、国語で片付きます。

これも、初学者モードで解いてみましょう。

まず、本文、違憲判決を受けた法律の効力について、二つの説があるんですね。

簡単な方は、第2説。違憲判決があると、法律の効力がなくなる、って言うんです。
じゃあ、第1説は?
法律の効力はなくならない、ただ、裁判所は、この事件にこの法律を適用しないだけなんです。

こういう対立関係にある説を理解するときは、必ず簡単なほう、はっきりしているほう、あるいは極端な方から理解すること。そして、その対立関係において、もう片方を理解すると、大雑把な構成を早くつかむことができます。

それではアから見てみましょう。

ア この見解は、憲法第98条第1項が憲法の条規に反する法律の全部又は一部はその効力を有しないと規定することを根拠とする。

憲法に反してる法律は効力を有しないのが「この見解」の根拠なんでしょ。
これは、違憲とされたら法律は効力を失うっていう説の根拠です。

つまり、2説ですね。

ということで、アは適切。

1 アウ  2 アエ のどちらかだと楽ですね。

それではウを見てみましょう。

ウ この見解は、違憲審査権が具体的事件の裁判に付随してその解決に必要な範囲においてのみ行使されることを根拠とする。

違憲審査権は、具体的な事件の解決に必要な範囲でのみ行使されるっていうんです。具体的事件とは関係ないところには、違憲審査権は及ばないわけ。

そうすると、その法律が一般的に効力を失うっていうんじゃなくて、その事件に関する限り、裁判所はその法律を適用しないっていう第1説の根拠のはずですね。

するとウは適切じゃあないわけだ。

こうして、1 アウ と5 ウオ  が、切れました。
残りは、2 アエ  3 イエ  4 イオ ですね。

ここで、アは正しいのだから、エが正しいか確認してもいいですね。エが正しければ、答えは2のアエになるわけです。

逆にエが間違っていれば、2と3が切れて、答えは4になるはず。

一方、イが間違っていても、結論は同じ。3,4を切れれば2が残るんですね。

逆に、もし、イが正しければ、正しいアとイを○であらわせば、
2 ○エ  3 ○エ 4 ○オ となり、
エが正しければ答えが二つになってしまうので、オが正しいはずで、答えは4になります。

ここでも、イを確認するか、エを確認するか、お好みです。
それではイを確認しましょう。

イ この見解に対しては、法的安定性又は予見可能性を害し、また、不公平を生み、平等原則にも反するという批判がある。

事件によって、法律が効力があったりなかったりするんだったら、不公平だし平等じゃないし、法的安定性も害されますね。

イは、第1説に対する批判を述べてるわけ。つまり、イの「この見解」は第1説です。つまり、適切じゃないわけ。

そうすると、3 イエ  4 イオ が切れて、答えは2ですね。

では、エを選んだとして、確認しましょう。

エ この見解に対しては、裁判所による一種の消極的立法を認めることになり、憲法第41条が国会は国の唯一の立法機関であると規定することに反するという批判がある。

裁判所が消極的な立法をするって言ってます。消極的、ネガティブ、つまりマイナス方向に立法するっていうんだから、これは、法律を廃止することでしょ。つまり、ある法律を一般的に効力がないものとしちゃうことを指しているわけ。

こうなる見解は、当然、第2説です。判決によって、法律の効力は失われるんでしょ。

つまり、これは適切なわけ。

よって、適切なのは、アとエの組合せ、2ですね。

ここでも、検討しないですんだ、オを、確認のために見ておきましょう。

オ この見解は、憲法上、国会は違憲とされた法令を速やかに改廃し、また、政府はその執行を控えるなどの措置を採ることが期待されているとする。

裁判所が違憲としたとき、国会がその法令を速やかに改廃することが期待されるっていうのは、違憲の法令が効力を持ち続けちゃ困るからでしょ。政府が執行を控えるのも同じ、裁判で、当然に効力が失われるんじゃないから、それが期待されるわけですね。

そこで、オの「この見解」は第1説を指します。

以上、この問題も肢を三つみれば終わりでしたね。

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