憲法、憲法判例、憲法学習法

憲法の学習法

憲法の学習法
= 条文・判例・理論をいかに学ぶか =

憲法の特徴をもとに、資格試験のために憲法を学ぶ効率的な学習法についてまとめました。特に、行政書士試験については、行政書士試験の憲法学習法をご覧ください。また、基本書(いわゆる学者本)の読み方はこちらをご覧ください

憲法学習上の三種の神器

憲法学習において、3種の神器があります。
それは、条文、判例、そして理論です。

これは、それぞれ六法、判例集、基本書にあたります。
ただし、それをバラバラに勉強しないこと。それぞれのつながりが大切です。


条文

条文は憲法に限らず、あらゆる法律の基本です。
わずか103条しかないものですから、しっかり身に付ける必要があります。

特に、重要ないくつかの条文は、常識として身に付けていなくてはなりません。
憲法21条、といわれて、
あれ?なんだっけ、などと言っているレベルでは話になりません。

理想はもちろん、重要な条文については覚えていることこと。

でも、やみくもに暗唱するのは効率が悪いです。きちんと意味がわかっていて、全体の中に位置づけられることが大切です。何度も出てくる条文、大切な条文は自然に覚えてしまう、というのが本来の姿です。

なお、憲法の条文だけでは実は不十分です。
関連する国会法内閣法裁判所法、行政関連の法規、訴訟法関連の法規、これらについても目配りはかかせません。

憲法条文はこちら


判例

次に、判例も重要です。
条文が少なく、しかも、ある程度抽象的な憲法において、
その実質化としては、周辺法規と同様、判例も忘れることはできません。

特に資格試験などでは、判例が直接聞かれることも多いもの。

ただし、近年の傾向として、単に事案と結論を覚えているだけでは対処しにくい問題が増えています。

裁判所の判断枠組みと、そこにある理論的な課題まで理解しておく必要があります。そのため、代表的な判例については深いところまで検討しておく必要があります。

どんな判例があるか、まずはざっと知りたい方は、重要な憲法判例解説をこちらにも載せていますのでご覧ください。より詳しく判例の枠組みを知りたい方は、ブログ憲法判例解説をごらんください。こちらは、事案や判例の判断を、かなり突っ込んで解説しています。


理論

実は、条文と判例に比べて、理論が直接問題になることは少ないです。

ですから、予備校などでは、理論などよりも断片的な知識を強調する傾向があります。これは、その方が教えやすいという予備校側の事情もあります。

しかし、憲法に限らず、何かを理解する上で、基礎理論を欠くことはできません。

もちろん、司法試験や、司法書士試験などに見られる見解問題などを解く上でも、重要な論点についての学説を知っておくことが必要です。行政書士試験で出る「考え方」の異なる問題を選べ、という問題も、基本的な論点問題です。

ですが、それ以上に、条文や判例を理解するためのバックボーンとして、理論というものが重要になります。

先ほど、判例の事案と結論を覚えているだけでは対処できない問題が増えていると言いました。裁判所の判断枠組みを理解するためには、基本書を通して理論的なことを学ぶ必要もあるのです。

理論というと身構えてしまうかもしれませんが、これは、体系的な理解と言い換えてもいいかもしれません。

要点のみを上手にまとめた予備校などのテキストで勉強するのは、一見効率的に見えます。しかし、憲法が身につかない最大の理由が、実は、この体系的理解の不足にあることも多いのです。

憲法の体系的理解があり、各条文や判例の知識が有機的に結合している。

そこを目指していかないと、
ばらばらの知識の集積体では、それこそ、ばらばらと知識が抜け落ちていきます。

よく言われるたとえですが、

「χαριs χαριν τικτει」という言葉を覚えてください。*1そもそも読めないし、なかなか覚えられないですね。
次に、
「とんぼ、みかん、アメリカ、えんぴつ、名古屋、遭難」
という言葉を覚えてみましょう。
さらに、
「試験が近いので必死で教科書を読みこもうと思うが、つい眠くなるので困っている」という文章を覚えてみてください。

どれが一番、簡単に覚えられ、忘れないか、これは明瞭ですね。けれど、文字数から言えば、最後の文が一番多いことに気がついたでしょうか。

無意味記憶よりも有意味記憶、そして、ばらばらの事項よりも、有機的な連関を持つものが覚えやすいのです。


おすすめの学習法

それでは、どのように憲法を学んだらいいのでしょうか。
具体的な学習法を考えてみましょう。

王道の学習法

王道の学習法というものがあります。

条文と判例集を片手に、基本書を読み込んでいく。

基本書を何度も読み、その著者の体系を自分のものにしつつ、
他の基本書、参考書、論文集で、疑問に思った点を追求し、
自分なりの答えを出していく。
その過程で出てきた条文や判例を、六法や判例集で何回も確認し、
自分の中に有機的な憲法体系を作り上げていく。

これが王道です。

本当は、ぜひ、このような勉強をお勧めしたいのです。

しかし、学者志望であればともかく、受験生であれば、
憲法だけを勉強するわけにはいきません。

まして、働きながら勉強している人にとっては、
基本書を丁寧に読み込む、などと言うのは自殺行為に近い場合すらあります。

しかし、予備校などの安直な勉強では、
たとえ試験に合格したとしても、
その勉強は今後、役に立ちません。
まさに、受験のための勉強にしかならないわけです。

こういうのを「ごまかし勉強」*2と言います。

せっかく憲法を勉強していながら、
そんなことになるのは、もったいないです。


効率的な学習法

そこで、効率的な学習法を提案します。
あくまでも一例ですが、参考にしてください。

(1)基本書を読む。

(ここではざっと説明しています。より詳しい基本書の読み方については、こちらをご覧ください。

なるべく短い時間内でざっと目を通しましょう。
ざっと、がコツです。

基本書の選択についてはおすすめテキストを参照してください。

ただし、大学などで使っていたり、どなたかの指導を受けていらっしゃ場合、そこで使用しているテキストでよいと思います。

ここでいう基本書には、予備校のテキストは含みません。
入門書として、眺めるのにとどめておく、または、
参考書としてまとめ用に使うのはよいですが、
最初から予備校のテキストに頼ると、
頭が混乱することがあるので、おすすめしません。
どうしても、という方は、
伊藤真の試験対策講座「憲法」(弘文堂)が読みやすいかもしれません。

初回は、ぱらぱらとページをめくる感覚で。
章立てや、各章の分量などを確認するつもりくらいでいいでしょう。
一気に全体を眺めて、その後、どのような章立てだったか、
思い出して、紙にでも書き出しておきましょう。

二回目は、とりあえず、目を通していきます。このときも、本文を丁寧に読むのではなく、各章ごとにどんな順番で何を説明しているのか、把握する感じでよんでください。

いわば、一回目で大きな引き出しを作り、二回目で、引き出しの中の仕切りを作る感覚です。

ここまでは、時間はいくらもかからないはずです。なお、この際に、目次のコピーをとって、しおりのように基本書に挟んでおくのもおすすめです。

以上を前提に、三回目は本文を読んでいきますが、このとき、憲法の条文だけは横において、必ず、それを確認しながら読んでいきましょう。

(2)条文を読む。

基本書を以上のように読んだら、次に、憲法の条文を読んでいきます。

憲法の勉強をするのに、憲法の条文を読み込むというのは
当たり前ですが、意外と皆さんやっていません。

この段階では覚えようと思わず、
すらすら声に出して読めるようにしましょう。

また、択一式受験六法などをわざわざ用意しなくても、
ポケット六法で十分ですし、インターネットでも憲法全文は手に入ります。
このサイトにも憲法条文、載せてあります。
ただ、いずれにせよ、プリントアウトしてあるものがいいと思います。
おすすめは、古いポケット六法をばらして、憲法だけ綴じておくこと。
これを憲法の基本書の間に、これまたしおり代わりに挟みこんでおくと便利です。

全条文がすらすら読めるようになったら、
次の判例集に進みましょう。

ただし、できれば音読はもう少し続けてください。
必ず、何か発見があります。

(3)判例集を読む。

今の段階では判旨の引用などが詳しすぎないものがいいです。
具体的には、
憲法判例100選の事案と判旨の部分、
あるいは、予備校などで発行している判例集などでもいいでしょう。

判例は、基本的に事件集ですから、面白く読めると思います。
面白がってさくさく読んでいただければいいです。
あまり、難しいことは考えない。わからないことが書いてあっても、そこはスルーしましょう。

試験にはこれだけでは不足ですが、今はそれを考えず、なるべく短い時間で読み通すこと。
じっくり一度読むよりは、同じ時間で、ざっと何度も見るほうがいいです。
物事には、全体的な流れというものがありますので。

(4)基本書に戻る。

ここで、(1)で読んだ基本書をもう一度読んでみましょう。

結構、見覚えのある条文や、事件が出てきます。
ばらばらだった知識が、整理されていくのを実感できると思います。

基本書を読みながら、出てきた条文や判例は確認していくこと。

(5)問題演習

さあ、ここで問題演習をしてみましょう。
何よりもまずは、過去問を。

疑問に思った点は、基本書や判例集で確認を。
そのとき、基本書に、問題のコピーでも挟み込んだり、
疑問だった点を、付箋紙にでも書いて貼っておきます。
あるいは、直接、問題番号や要点を書き込んでもいいです。
条文も、少しでもあやふやなら、かならず六法で確認すること。

試験直前には、こうした書き込みや、付箋をチェックするのが効率的です。

ところで、過去問と基本書の往復作業をしていると、
特に気になる判例や、基本書で気になる箇所が出てきます。
これが、要注意論点や要注意判例です。

その部分こそ、判例集の解説を読み込む、より詳しい判例集で調べる、他の基本書の記載と比較するなど、丁寧に学習すべきところです。

(6)実戦力養成のために

以上の学習でも、最低限の合格点は確保できると思います。

でも、もっと安定した高得点を狙いたい方や、自信をつけたい方は、過去問をもう少し深く研究しましょう。

過去問の作成者が意図したことはなんだったのか、出題されたテーマに関して、なぜそこにこのような選択肢が選ばれたのか。こうした出題を通して確認したかった学力というのはなんだったのか。

これを理解すると、細かい言い回しの違いを尋ねた枝葉末節のような問題が、実は理論上の論点の理解をたずねている問題であったり、やたら難解だと思っていた問題が、判例の枠組みさえ知っていれば簡単だったりします。

また雑多な、ときとして細かい判例知識の問題も、横断的な判断枠組みが身についているかを尋ねる問題であることもあります。

このようなことが見えるようになれば、憲法の高得点は約束されたようなものです。


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*1 これはカリス カリン ティクテイと読みます。恵みは恵みを生む、という意味。
*2 ごまかし勉強については、藤澤伸介「ごまかし勉強」新曜社を参考のこと。なお、西林克彦「間違いだらけの学習論」新曜社、麻柄啓一「じょうずな勉強法」北大路書房なども同旨。また、市川伸一「勉強法が変わる本」岩波ジュニア新書の第1章「学習観を見直す」は、大人にとっても大変参考になります。

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