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憲法16条

憲法16条

第十六条【請願権】 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

意義

国民が政治に参加できず、政治上の言論の自由も確立されていない時代においては、請願は、民衆が政治にかかわる唯一の手段でした。ですから、人権の確立においてきわめて重要な役割を果たした権利です。

なお、法制上、最初に請願権を保障したのはイギリスの権利章典(1689)でした。

今日では、参政権も言論の自由も確立しているために、請願権の重要性は減少しましたが、個別具体的な国民の意思を国政に反映させる制度として、参政権的な意義を持ち続けています。

請願権の主体

日本国民に限らず、外国人でも行うことができ、未成年・法人・任意団体など誰でも行うことができます。

請願権の対象

本条が、「損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項」と挙げるのは例示であり、請願権は、一切の国務・公務に関する事項が対象となります。

直接、請願者の利害に関係することにも限定されず、一般的公共的事項についての請願もできません。

ただ、裁判についてのみ、判決の変更や継続中の裁判事件に干渉する請願は司法の独立を侵害し許されないという説もあります。

請願の効果

請願権の保障は、請願を受けた機関に「誠実に処理する義務」を課すのみで(請願法5条)、審理・判定すべき法的拘束力はありません。

請願権と立法不作為

下級審の判決ですが、衆参両議院に一定の立法を求める請願がなされ、かつ、憲法上、このような立法をなすことが義務であると解される場合に、国会が請願を本会議に付することを留保した場合、憲法上義務付けられた立法の故意の放置として、立法不作為の違憲を認めたものがあります。これは、
在宅投票廃止事件(最判昭和60・11・21)の高裁判決(札幌高判昭和53・5・24)です。

(札幌高判昭和53・5・24)
従つて例えば、衆、参両議院に対して一定の立法をなすべきことを求める請願がなされ(憲法一六条、国会法七九条)、右請願にかかる立法をなすことが憲法によつて義務付けられている場合に、各議院の然るべき委員会が右請願について審査をし(国会法八〇条一項)、本会議に付するのを留保すると決定したとすれば、これにより当該議院がそれぞれ右請願にかかる立法を少くとも当分の間はしないことに決定したことになり、衆、参両議院がそれぞれ右のように決定したことになる以上、結局、国会が右のように決定したことになるといわざるを得ないから、その後合理的と認められる相当の期間内に国会が当該立法をしないときは、国会は憲法によつて義務付けられた立法をすることを故意に放置するに至るものということができる。

札幌高裁は、以上のように述べ、請願がなされた一年後である昭和44年以降の立法不作為については違憲としました。ただし、国会議員には、違憲・違法であったことについての故意・過失がなかったとして、国賠請求を認めませんでした。

請願制度

一般の官公署への請願

請願法の規定によります。氏名・住所を記載し、文書で所轄の官公署に提出します。所轄が明らかでないときは、内閣への提出も可能です。

衆参各議院に対する請願

国会法および各議院規則にて規定されています。議員の紹介によって請願する必要があります。委員会で審査し、本会議に付するものとそうでないものを区別、採択したもののうち、必要なものは内閣に送付し、内閣は毎年この処理について国会に報告します。

地方議会に対する請願

地方自治法に規定されており、国会同様に、議員の紹介が必要、また、議会が採択したもののうち、必要なものは執行機関に送付し、報告を求めることができます。

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