憲法、憲法判例、憲法学習法

憲法17条

憲法17条

第十七条【国及び公共団体の賠償責任】何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

国家賠償責任の歴史

近代初期においては、国家無答責の原則があり、国の不法行為責任というものは否定されていました。

絶対王政以来の主権免責思想(国王は誤りを犯さず)と、違法行為の国家帰属不能理論(法に違反する公務員の行為は国家の行為ではない)がその根拠とされたわけです。

ただし、公務員個人の民事責任まで否定されたわけではなく、たとえばイギリスでは「法の支配」の原則から、公務員に対する法的責任は、一般市民と同一の裁判所で民事上の不法行為と同様に処理されました。他国においても同様に公務員の民事責任は認められていたものの、国の活動が拡大するとともに、以上の仕組みでは対処できない事態が増えていきます。

そこで、現代では、立法上あるいは判例上、国の賠償責任が認められることとなりました。

日本における国家賠償責任

明治憲法においても、本17条のような条文はなく、「国家無答責の原則」から、国家賠償の規定はありませんでした。官吏は天皇に対してのみ責任を負っていたのです。当時の行政裁判所は、「損害要償ノ訴訟ヲ受理セス」(行政裁判法)と規定され、国家賠償請求訴訟は受け付けませんでした。

ただ、国の私経済的活動や非権力的行為による損害については、民法の不法行為によって国の賠償責任が認められていましたが、公権力を行使する行為については、国も公務員個人も賠償責任を負いませんでした。

以上に対し、現行憲法は、本17条において、権力的作用か非権力的作用かを区別せず、一般的に国の不法行為責任を認めました。これは、GHQ草案にも政府草案にもなかったものであり、憲法改正帝国議会の衆議院段階で追加された条文です。

本条について

◎「法律の定めるところ」とは、具体的には国家賠償法です。

◎ 賠償は、あくまでも国または公共団体が行いますが、それが国の代位責任か自己責任かを規定していません。

代位責任説によれば本来は公務員個人が負う不法行為責任を、被害者救済の実効性という理由から政府が肩代わりすると考えますが、自己責任説では、公務員は政府の手足であり、不法行為は政府が行ったものと考え、その責任も政府にあると考えます。

本条を受けて規定された国家賠償法は、代位責任を規定していると捉えるのが通説です。

◎ 国家賠償法は、「公権力の行使」にあたり、公務員が「故意・過失」により、そして「違法に損害を与えた」ことを要件としています(1条1項)。この要件については、さまざまな訴訟において問題になることも多いので注意が必要です。

◎ 本条の「不法行為」は、公の営造物の設置又は保存に瑕疵があった場合も含み、この場合は原則、無過失責任です。(国賠法2条)

◎ 以上のように、実際に問題となり議論されているのは、多くは国家賠償法の解釈であり、憲法17条そのものが直接問題になる場合はあまり多くありません。

◎ 憲法17条そのものが問題となった判例としては、郵便法の法令違憲判決(最大判平成14・9・11)が重要です。裁判所は17条が予定する法律による具体化は、白紙委任ではなく、立法府は裁量の範囲を逸脱している、としています。

powered by QHM 6.0.4 haik
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional