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憲法22条

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第二十二条【居住・移転・職業選択の自由、外国移住・国籍離脱の自由】
(1)何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
(2)何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

本条の趣旨

前近代においては、人は生まれた身分や職業、土地に固定されていましたが、市民革命がそれを打ち破りました。これは人々が市場に参入し、あるいは労働力として産業に従事する前提条件であり、資本主義社会の基礎となりました。

居住・移転の自由

歴史的には、農村から都市に人々が流入し、労働力となることで、労働集約的な初期の産業の発展を準備したものです。もちろん、単なる経済的自由だけではなく、人身の自由や人格形成の自由など多面的な性格を持つ自由です。

職業選択の自由

これは、各人が選択した職業に就く自由です。職業に就いた後に、それを遂行する自由(営業の自由)も含まれます。

職業選択の自由の制約

実際には、様々な理由で、職業選択の自由・営業の自由には制約が存在します。
1)反社会的職業の禁止
2)自由に放任することで弊害が予想されるものにつき許可制
3)直接に他人の生命・安全に関係する職業についての資格制
4)事業免許を取得した事業者のみに営業を認める特許制
あるいは登録制・届出制や国家独占なども存在します。

規制の合憲性判断

職業選択の自由に対する規制が、本条に反して違憲にならないかが問題となります。これについて次のような違憲審査基準が語られることがあります。

1)表現の自由に比べて経済的自由は、規制についての合憲性が緩やかに判断(=二重の基準)

経済的活動は精神的な活動よりも、社会的関連性が高く、社会国家においては規制の必要が大きいと考えられます。

2)法律による職業選択の自由の規制については、消極目的の規制と積極目的の規制に分けて判断(=規制目的二分論)

消極目的の規制というのは、警察目的ともいい、市民の生命・安全・健康を守るための規制です。これは、19世紀的な自由国家を前提としても内在的な制約でもあります。

これに対して、積極目的の規制とは、政策的規制とも言われ、社会的弱者の保護や国民経済の発展などを目的とするものです。これは、外在的な規制と言われることもありますが、公共の福祉について一元的内在説を採用した場合、社会国家的な公共の福祉に近いものですので、むしろ、社会国家的な意味での内在的制約と考えるべきでしょう。

そして、積極目的については、規制の目的、または、目的の達成のための手段としての規制が、著しく不合理であることが明白なときに、この規制は憲法22条1項違反となり(=明白性の審査)、消極目的については、目的が重要な公共利益の保護であり、目的達成手段が必要最小限の規制である場合に違憲となる(厳格な合理性の基準)と考えます。

この規制目的二分論については、近年、批判も強く、そもそも判例もこれにしたがっているので、これを採用する場合には十分な吟味が必要です。

職業選択の自由に関する重要判例

小売市場事件(最大判昭和47・11・22)
小売市場の距離制限は小売店の保護のための積極目的として、明白性の審査により合憲

薬事法違憲判決(最大判昭和50・4・30)
薬局の距離制限は、消極目的の規制として厳しく審査。違憲。

公衆浴場事件旧判決(最大判昭和30・1・26)
公衆浴場の距離制限を公共の福祉のために必要として簡単に合憲とした。

公衆浴場事件新判決第二小法廷事件(刑事事件、最判平成元・1・20)
同第三小法廷事件(行政事件、最判平成元・3・7)
公衆浴場の距離制限について、第二小法廷は積極目的として明白性の審査で合憲とし、第三小法廷は、浴場の衛生保持という消極目的と、斜陽産業の保護という積極目的の両面とし、必要かつ合理的な規制として合憲とした。
 
酒税法事件(最判平成4・12・15)
酒類販売免許について、租税の適正かつ確実な賦課徴収という消極・積極のいずれにもあてはまらない財政目的とし、政策的・専門技術的裁量を認めて合憲とした。

外国移住・国籍離脱の自由

居住・移転の自由の外国版です。ただし、相手国が受け入れることまでは当然ながら保障していません。

なお、国籍法は他国国籍の取得を日本国籍離脱の条件としています。これは、国際社会が無国籍者の防止を図っていることから合憲と考えられています。

また、国籍離脱の自由とは、国籍を一方的に政府に剥奪されない自由も保障していると考えられます。

海外渡航の自由

海外渡航の自由については、憲法上保障されることで争いはありませんが、保障根拠については説が分かれます。
1)22条2項説:外国移住に含める。(22条は1項が国内関連、2項が海外関連とするもので、現在の多数説)
2)22条1項説:単なる旅行は移住に含まれず、1項の移転に入れる。
3)13条説:旅行は移住や移転とは異なるので、幸福追求権に含まれるとする。

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