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憲法43条

憲法条文

第43条
(1)両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。 
(2)両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。

この43条1項は、一般に、命令的委任の禁止、あるいは自由委任の原則を定めた条項と解されることが一般的です。

つまり、議員は、「全国民を代表」しているのであって、特定の選挙区の代表ではなく、全国民のために活動すべきであり、選挙区の選挙人の指示に法的に拘束されません。

このような代表を、政治的代表といいます。

憲法51条が免責特権を規定してこともあわせ、ここでの「代表」を、このような政治的な意味でとらえるのが、通説的な立場です。

確かに、議員が、自己の選出母体の利害ばかりを主張するのではなく、全体的見地にたって国政を運営することは必要です。しかし、「全国民」の代表であることばかりを強調すると、今度は、実際の国民の意思とは関係のない、抽象的な「純粋代表」である可能性が出てきます。

そのため、国民代表の理論は、実際の国民の意思と議員の意思の不一致を覆い隠すイデオロギー的性格を濃厚に持っていた(芦部『憲法』)という指摘もあります。

『社会契約論』の中のルソーの批判はあまりに有名でしょう。ルソーはイギリスの人民について、
「(彼らが)自由なのは、議会の議員を選挙するあいだだけであり、議員の選挙が終われば人民はもはや奴隷であり…(以下略)」(中山元訳、光文社古典新訳文庫、p193)と述べています。

とくに、現代においては、社会構造が複雑化し、民意が多様化した結果、純粋代表制が、ますます現実的な基礎を欠くこととなります。
そこで、芦部先生は、代表者と国民の意思の事実上の類似を重視し、社会学的代表という意味を、この「代表」観念に含ませます。

そして、国民の多様な意思をできるかぎり反映する選挙制度が憲法上要請されていると考えるわけです。

なお、この社会学的代表という概念は、あくまでも事実上のものであり、議員と選挙民の法的関係を示すものではありません。

その他、43条1項に、代表者と被代表者の意思の一致を要請する規範的意味を読み込む樋口説、あるいは、15条の公務員選定罷免権などを手がかりに、国民代表を人民代表のように読み込む杉原説など、プープル主権論の立場からの説も興味深いものがあります。

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