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憲法65条

憲法条文

第65条
行政権は、内閣に属する。

(1)行政とは

これはまた、えらいシンプルな条文です。

簡単、簡単!
って、ほんと?

「行政権は内閣に属するんでしょっ!」

じゃあ、行政って何なんですか?

…行政権は内閣に属するんだし、だから、内閣の仕事だって憲法が決めたもののことでしょ。

なるほど。

憲法が内閣の仕事って決めたものが行政なんですね。

じゃあ、憲法見てみましょう。

どれどれ、憲法73条が、内閣の職務を定めてますね。
なになに、

「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」

そっか、内閣の職務は、一般行政事務と、それ以外にも…

あれれ?行政事務ってなんだっけ?行政に関する事務?
行政っていうのは内閣の職務のことで、内閣の職務は行政事務で…(以下続く)

ですから、実質的意味の行政について理解しておかなくてはならないのです。

(2)消極説(控除説)

多数説は、国家の働きから、立法作用と司法作用を差し引いた残りの部分を行政として説明します。

歴史的に見れば、もともと、君主は包括的な支配権を持っていたわけです。
そこから、司法権が独立の裁判所によって行われるようになり、
立法権を、国民の代表である議会が獲得するようになると、
行政権だけが、君主に残ったという流れがあるわけです。

なお、
君主の行政権を補佐するものとして、大臣というものがあったわけですが、
やがて、君主の権能は名目的になり、行政権の主体は、大臣の合議体である内閣に委ねられるようになります。

なお、明治憲法は、天皇が統治権を総攬し、
内閣については規定せず、
各国務大臣についてのみ、「天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス」(55条)としていました。

現行憲法65条が、「行政権は内閣に属する」と規定するのは、

もはや行政権が名目的にも天皇には属さず、内閣自体が行政権の主体であることを示します。

(3)「内閣に属する」

「行政権は内閣に属する」(65条)わけですが、
これに対し、

  • 国会は国の「唯一の」立法機関であり、
  • 「すべての」司法権は裁判所に属するものです。

この規定の違いからもわかるように、
また、実際上、考えればわかることでもありますが、

行政権を、内閣が直接的に独占するわけではありません。
あらゆる行政を内閣が直接、自ら行うことは不可能です。

本条は、内閣が行政全般に統括権を持ち、行政各部を指揮監督することを示しています。

これによって、議院内閣制の下、国会が内閣へのコントロールを通じて、行政全般を統制することが可能となり、
国民主権が実質化されていくわけです。

(4)独立行政委員会

そこで、内閣の指揮監督に服さない独立委員会の合憲性が問題となります。

これは、人事院、公正取引委員会、国家公安委員会などです。
(なお、会計検査院は憲法自体が設置している本条の例外となります。)

行政委員会は、特に、政治的中立性の要求される行政作用や、準立法作用、準司法作用について、
政党の圧力を受けない中立的な立場で公正に執行することを目的としています。

これが、合憲であることには、ほぼ異論はありませんが、その理由としては大きく二説にわかれます。

1)政治的に中立性が要求される行政については、内閣の指揮監督から独立した機関が担当したとしても、
最終的に、国会のコントロールが直接に及ぶのであれば、許される。

2)もともと、これらについては性質上、政党政治からの中立性が強く要求されるので、
国会のコントロールが及ばなくとも違憲ではない。

なお、上の二説以外にも、
内閣には委員任命権と予算権があるので、行政委員会は内閣の指揮監督に服していると考える説、
さらに、
行政委員会の職務は非政治的作用であり、行政権に含まれていない、と考える説などがあります。

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