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憲法66条

憲法条文

第66条
(1)内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
(2)内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。 
(3)内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。  


本条は、内閣の組織と、国会に対する責任を規定しています。
法律の定めるところ、とは、内閣法のことですね。

(1)その首長たる内閣総理大臣

もともと、内閣総理大臣というのは、同輩中の首席として確立してきたものと言われています。同輩ですので、メンバーは同等。
閣議の全員一致も、このようなメンバーの対等性の表れであったわけです。

しかし、現行憲法は、内閣総理大臣に対して、内閣の首長としての地位を与え、さらに、国務大臣の罷免権を与え(憲法68条2項)、その地位を強固なものとしました。
そして、この制度下において、閣議の全員一致は、内閣の一体性を高め、連帯責任を実質的なものにすると言われています。

(2)内閣の連帯責任

内閣は、行政権の行使について、国会に対して連帯して責任を負います(3項)。

これは、議院内閣制の基本要素の一つですね。これを、対議会責任制と呼ぶことがあります。

なお、議院内閣制の基本要素としては、
1)議会と政府の分立
2)政府が議会に責任を負う
の二つであると考える説(責任本質説)

及び、
上に加えて、
3)内閣が議会の解散権を持つ
という特徴を付け加える説(均衡本質説)があります。

歴史的に見れば、議院内閣制は18世紀から19世紀のイギリスで発生した政治形態です。

その本来の特徴は、

①行政権の元首と内閣への分離
その結果、内閣は、元首と議会の間に立ち、双方に対して責任を負うことになります。

②二つの権力の均衡
議会は内閣に対する不信任決議権を持ち、元首は議会の解散権を持っていること。なお、議会解散権について実質的にそれを行使するのは内閣なわけです。

後に、この①の要素が変化し、行政権が内閣に一元化されるようになります。

こうして、

③議会の優位
内閣が議会の信任を在職の要件とするようになり、
議会による政府の民主的コントロールが及ぶようになり、

この③の要件が重要視されるようになったわけです。

なお、ここでの内閣の国会に対する責任は、政治的責任です。
連帯して責任を取るというのは、
各大臣が個別に責任を負うことを否定する意味ではなく、
内閣の一体性をあらわしたものです。

憲法65条の解説でも述べたように、
明治憲法は、内閣については規定せず、国務大臣がそれぞれ「天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ」任じられていました。

なお、内閣法4条1項は、内閣が、内閣が「その職権を行うのは、閣議による」と、規定しています。
この閣議における意思決定は、戦前からの慣例によって運用されており、全員一致で決定が行われています。

これは内閣が連帯責任を負うことからも妥当とされています。

(3)文民資格

本条2項の文民資格については、どう理解するか説が分かれています。

もちろん、この条項は、本来、軍隊の文民統制のためであることは間違いないのですが、
現役の自衛官である者を除くことは当然としても、それ以外にどこまで範囲を広げるか争いがあります。

1)現在職業軍人(自衛官を含む)でない者。
2)現役の自衛官でなく、職業軍人の経歴を持たない者。
3)職業軍人の経歴を持たず、現役の自衛官でなく、自衛官の経歴を有しない者。
4)旧陸海軍の職業軍人の経歴を有する者であって、軍国主義思想に深く染まっている者および現在自衛官の職にある者以外の者。

第二次田中内閣は、文民を、強い軍国主義思想を持たない者、または、現役軍人でないもの、と解釈することによって、元職業軍人を入閣させました。

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