憲法、憲法判例、憲法学習法

行政書士試験の憲法学習法

行政書士試験の憲法学習法

行政書士試験に合格するための憲法学習法についてまとめました。
行政書士試験憲法の出題傾向についてはこちらをご覧ください。
出題分野と論点の分析はこちらです。


(1)行政書士試験憲法=難しい

第一の前提は、憲法の比率は行政法・民法よりも低いということです。つまり、勉強時間の配分としては行政法・民法が優先です。

第二の前提は、にもかかわらず、憲法の難易度はそれほど低くないということ。むしろ、民法や行政法よりも難しいとおもいます。

もう少し正確に言えば、民法や行政法は基本レベルの問題が多いのに対し、憲法は難しい問題が混ざっています。

ただし、全問題が難しいわけではありません。

(2)難問対策の指針

一口に難しいと言っても問題によってその理由はさまざまです。
よくあるのが以下のタイプ。

  1. 有名な判例の「細かい点」の違いをたずねている
  2. 有名な判例についての聞いたことのない意見を題材にしている
  3. 聞いたこともない判例が題材になっている
  4. 国会法などの細かい知識が問われている

よくあるのが、こういった問題に単純な暗記で対応しようとするケース。
これは多くの場合、労多く、実りが少ない勉強になりがちです。
それよりは、基本事項を応用して解くことが大切です。

細かい知識は時として有害ですらありえます。
基本を使いこなせる勉強をしましょう。

人権分野

人権分野の判例に関する難しい問題については、まず、一つ一つの判例をばらばらに捉えるのではなく、その分野の考え方、そしてその分野における裁判所の判断の基準を理解することです。この基準がわかれば、初めてみる判例でも、裁判所の判断はだいたいわかります。また、事案ごとの判断の違いを比較することで、細かい言い回しの違いが、個々の権利に対する判断の違いを表していることがわかります。

次に、その考え方のどこが問題なのかを理解しておくこと。そうすると、初めてみる判例でも、裁判所の判断の仕方は大体わかります。また、別の考え方がどのような点で、判例と異なるのかもわかるはずです。

ポイント
判例:ばらばらではなく、分野ごとに判断基準とその問題点を理解すること


統治分野

一方、統治分野の細かい知識ですが、これもばらばらの知識として捉えないことが大切です。

ちなみに条文そのものを問う問題は、細かい知識とは言いません。法律の勉強では条文は基本中の基本ですし、まして憲法は条文数も少ないのですから、条文を読み込むことは必須です。

国民主権の考え方をはじめとする憲法の基本理念を生かすためには、どのような統治機構が望ましいのか、その視点で統治機構を学ぶことが大切です。国会法の細かい規定などが問われているようでも、実際には、その根本にある統治の基本理念を聞いている問題などもあるわけです。

また、条文は基本だといいましたが、その条文中の細かい点も、統治機構の意味を考えることで覚えやすくなるとはおもいます。

ですから、学習法としては、大きな概念を理解し、それの具体化としての統治機構の仕組みについて理解すること、知識を体系的に捉えることが大切なわけです。

ポイント
統治分野:基本理念をどのように実現しているのかという視点で知識を体系的に捉えること。


憲法総論

憲法総論は試験で直接出にくいですが、よく勉強しておいた方がよいとおもいます。統治分野はもちろん、憲法全体の理解を深めるためにも有用です。また、統治分野の出題はもちろんですが、今後、難化傾向が進むならば、総論部分と絡めた統治分野の問題というものも予想されます。

(3)学習のゴール

もっとも、上に述べた難しい問題は、全体の正答率も低いわけですから、行政法・民法で高得点をキープできれば、合否には関係ない可能性もあります。当たり前ですが、皆さんの目標は高得点ではなく、合格することです。

そこでまず、

憲法での高得点を確実に狙うのか、
憲法では人並みで、行政法・民法で高得点を狙うのか、
ここははっきりさせておいた方がいいでしょう。

ポイント
憲法学習のゴールをはっきりさせること。

資格試験である以上、試験問題は必ず
A 易しい問題
B 標準問題=合否を分ける問題
C 難しい問題
の3つに分けられます。そうして受験生は大きく、4つのグループに分かれることになるわけです。

つまり、
① Aも解けない受験生
② Aのみ解ける受験生
③ Bまで解ける受験生
④ Cも解ける受験生です。

まれに、Cは解けるのに、A(単純条文問題など)を間違える人もいますが、それは例外ということで。

皆さんが、憲法は標準でいいとおもうのであれば、③のレベル、つまりAとBまで解けるようにしましょう。一方、民法と行政法、会社法などで満点を狙えるなど、憲法では最低限でいい方は、②のレベル、つまりAさえ解ければ大丈夫でしょう。

一般的な受験生は、④のレベルは狙わない方が無難です。その時間があれば行政法や民法を勉強した方がいいかもしれません。

ただし、

一度、過去問で出た問題は、どれほど難しくとも、Cレベルの問題とはいえません。過去問で出た以上、合格レベルの受験生は、必ず理解しています。また、出題者もその過去問を受験生が理解していることを前提に問題を作ります。ですから、過去問で問われた判例や論点が再度出題されたときに完璧に解けることは、合格者の枠に入るための前提と考えてください。

そして、過去問で問われた論点の理解の質で、合否が分かれるといっても過言ではありません。これは、広い知識が必要という意味ではありません。基本の知識をどれだけ深く、確実に理解するか、という意味です。

ポイント
過去問は完全に理解すること


(4)具体的な勉強法

皆さんの現在地点によって具体的な勉強法は多少変わりますが、ここでは初学者を前提に具体的な勉強法を考えてみます。

入門段階

どんな学問でもそうですが、第一には全体像をつかむことが大切です。

憲法を大学で勉強した人はともかく、
まったく初めて、という人。
高校で何かやった覚えはあるんだけど、という人。
まずテキストをざっと読んでください。

わかりやすい説明があって、内容が詰まっていないテキストを選んでください。

行政書士試験用として売っているまとめテキストみたいなテキストもやめておきましょう。そんなのいきなり読んでも意味がわかりませんから。(ただし、解説をしてもらえるなら別です。)

個人的には、私の一押しである有斐閣のアルマの憲法。(渋谷・赤坂先生の共著です。)そして、私も最近まで知らなかったのですが、公務員試験用のテキストで郷原豊茂という方が書かれた本をおすすめしておきます。

憲法1 人権 第5版 (有斐閣アルマ) 憲法2 統治 第5版 (有斐閣アルマ) 郷原豊茂の憲法まるごと講義生中継 第3版

前者は、学者の書いた本のなかでは、特にわかりやすい本です。しかも記述もバランスよく、安心して読んでいられます。ただ、それでも学者本には間違いがなく、上下二冊ですので、それなりの覚悟は必要です。

後者は、公務員試験のための本ですが、行政書士試験を目指す初学者にもとてもいいとおもいます。細かい知識は捨てて、基本事項を丁寧にわかりやすく説明しています。あまり厳密ではない、わかりやすい言い方をしているのが、かえって効果的で、圧倒的に読みやすいです。

これらのテキストを、まずは超スピードで全体を眺め、
次に、もう一度、今度はざっくりと読んでみましょう。

一回目は、内容にあまり入り込まず、どこに何がかいてあるかを確認するつもりで。
二回目は、要点を拾うつもりで読んでいきます。

基本段階

次は、基本知識を身につけていく段階です。まず、憲法の条文をコピーしましょう。そして、テキストにしおりのようにして挟み込んでください。これは必ずすること。

そして、入門段階でざっと読んだテキストを、もう少し丁寧に読んでいきましょう。

とはいっても、テキストを端から覚えこもうとはしないでください。この段階では、先ほどのAの問題、つまり、多少勉強していれば誰でも解ける問題を確実に解けるようにすることが目標です。

つまり、テキストの基本事項をしっかり身に付けることが目標です。章ごとの大切なポイントを理解し、関連する基本判例を確認し、条文をチェックすること。

テキストを読みながら、出てきた判例や条文は何度もチェックしてください。太い幹を育てるつもりで、憲法の理解の柱を作りましょう。実は憲法は、それほど細かい知識が必要のない科目です。骨太の理解を基にした基本知識さえしっかりしていれば、結構、問題も解けてしまうものです。ですから、あせってむやみに知識を詰め込もうとしないことが大切です。

さきほど紹介したテキストは、説明がわかりやすく頭に入りやすいとおもいます。他のテキストを使っている方も、知識だけでなく、その意義付けや理由などを丁寧に理解しながら読んでください。

実戦段階

判例と条文をチェックしながらテキストを読み込んだら、過去問の研究をしましょう。

過去問研究は、年度別じゃなくて、分野別にやるのがいいとおもいます。実際に解いて見ながら、本試験ではどのような知識が、どのような形で問われているのか、あるいは、どのような問題形式があるのかを確認しましょう。

過去問を解きながら、常にテキストに戻って、関連事項がどのように説明されているか確認してください。テキストに載っていない論点や判例も当然ありますので、そんなときは、テキストに書き込むとか、付箋を使ってメモを書き込むとか、問題をコピーして該当箇所に挟んでおく、など、後で一覧できるようにしておいてください。

なお、判例問題は、基本的にはテキストの知識だけで解けないかを確認すること。直接、その判例を扱っていなくても、問題を解くために必要な考え方は、ほぼテキストに載っているはずです。それでも、どうしても抜けているポイントなどは、しっかり書き込んでおきましょう。

過去問は必ず理解するまで検討すること。判例素材の選択肢が並んだ問題では、それらの選択肢のもとの判例を確認して終わりにしがちですが、そこで終わってはいけません。それらの判決の判断基準は何なのか、なぜ、そのような判断をして、他の事例とどう異なるのか、その理由は何なのか、必ず確認してください。

よく言われることですが、過去問こそが合格の鍵です。とにかく疑問を残さないこと。どうしてもわからないことがあって、周りに質問できる方がいなければ、私に質問のメールをくださっても結構です。(テキスト読めばわかることは聞かないでくださいね。)すぐに返事できるとはお約束できませんが、解説させていただきます。

また、模試のようなものを受ける機会があれば、そのときに問われたこともテキストに書き込んでおきましょう。ただ、模試や予想問題は過去問の表面的な焼き直しが多く、知識の確認にしかならないことが多いのはまだしも、やたら細かい知識を意味なく出してくるものもあるようで、そういうのは気にしないことです。

まとめ

最後に、二つのことをしてください。ひとつは、条文をしっかりと読みなおすこと。特に、統治機構の条文は何回も音読しておきましょう。

そして、テキストを読み直してください。書き込みや付箋なども見ながら、頭を整理するつもりで読み直すこと。

以上ができれば、Bレベルの問題まで対応できます。

使いこなせる知識を

繰り返しになりますが、行政書士試験の憲法は、全範囲にわたる基本事項とその応用が問われます。単純な知識ではなく、どれだけ基本を徹底的に理解できているかが問われています。

このような試験ですから、何よりも基本をしっかり理解することが一番の対策になるわけです。逆に、中途半端に細かい論点を押さえようとすると、学習すべき範囲は膨大になりますし、理解せずに暗記に頼る勉強法では、近年の出題傾向には対処できません。

それよりも、基本知識を深く、確実に理解し、そこから応用的な問題について考察できることが求められています。使いこなせる知識こそが本当の知識です。

無駄な勉強や無駄な労苦をせずに、皆さんが希望を最短距離でかなえられることをお祈りしています。

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